なんで農家なんやろ

猛烈な引越しバイトを追え(稼いだ!)、自分の引越し作業も今日で山場を迎えるので、すでにホッとしてます。

2ヶ月の視察旅行から帰ってきたのが昨年12月末、そこから色んなことが決まり、今日までの3ヶ月があっという間に過ぎていきました。

明後日2日に徳島に引越し、5日に大阪で結婚式、10日頃からついに農業研修が始まるこの状況になっても、自分自身では驚くほど実感がなく、この気持ちでいいんやろかとふと考えてしまう。

実感ない、というのは正確な表現じゃないんかもな、その先に目指すもののための過程、1つ1つ大事な大事なその過程を、自分なりに毎日一生懸命、楽しみながら黙々と進めてる感じ。

だから、旅立つ直前になっても、もうそのことはずっと前から決めて覚悟してて、そのためにずっと前を向いて歩いてきてるんやから、この直前になって突然心境に大きな変化が起きるという訳ではないんやと思う。

やっぱ寂しいし名残惜しいけど、でもこれは自分達が自由の中で決めたやから。

この結果、周りの方の幸せに貢献できると信じてるから。

 

でも、そもそも家も畑も技術も経験も若くもないのに、今こうして農家を目指してんのは不思議やなぁとつくづく思う。

大阪の中心に近い場所で生まれ、土や緑など自然が限られた環境で育ち、高校・大学と理系を専攻し、電機メーカーへの就職が決まり、東京に出てきて8年半オフィスの中で過ごしてきました。

社会人になってから、どこか心に満たされへん何かを抱えながら、その何かを隠しごまかしながら過ごしてきたというのが、今思い返すと本音でした。

大学時代にオーストラリアを車で周り、インドやカンボジアやネパールなどのいわゆる途上国を単身バックパックする中で、複雑に有機的に繋がって生きている自然の素晴らしさと奥深さを実感するとともに、環境や貧困などの問題に直面している国があることを肌で知りました。

そして、日本はめちゃくちゃ恵まれた国だということも知りました。

ただ、その時はレールに乗ることを当然のように考え、それ以外の選択肢があることを考えもしなかった僕は、当たり障りのない社会人になり、当たり前の経済活動に参加し、何か違うというのを感じながらも、これが唯一のまっとうな社会人だと信じていました。

実際のところ何をどうすればいいのか自分でも見当がつかず、本を読んだり、色んな人にあったり模索し始めたのが社会人になって3年目(2006年)だったと思います。

自然に近い仕事というので短絡的に思いついたのが有機農業、有機農業を体験してみたいと思った時にwwoofの存在を初めて知り、山梨県の北杜市の八ヶ岳Yesファームさん(代表:徳永さん)のところにお邪魔しました。

その当時の徳永さんは有機農家として一級の売り上げを叩き出してた時期で(というのを後で伺った)、運動量バリバリで半端なく辛く、農業体験という軽い乗りで飛び込んでしまった自分は、この職業は選択肢にない方向でっ、とその時思ったのでした笑

その当時の写真を奇跡的に発見!

そんなときに社内で出向が重なったり、新入社員のメンターや新規プロジェクトに関わったりしている内に退社が長引き、いつの間にか2011年、震災の前に退社を伝え退職することになりました。

その後、再度カンボジアとラオスに渡って色々と模索している中で、やっぱり日本人として全うな日本的暮らしをしたいと思って帰国し、タイミングよく国立市谷保のやぼろじの活動に関わることができ、株式会社やまもりで古民家カフェや有機野菜販売の立ち上げにも参画できました。

ここで色んな方々と出会い、色んな価値観や仕事ぶりに触れ、志しある方達と仕事をして学び、小さな社会しか知らなかった自分自身に驚くとともに、少し大きな社会に飛び出すことができました。

ほんとに感謝感謝です。

 

そして今、気持ちは原点に戻り、自然と共生する暮らし、日本人として伝統的な暮らしをしたい、というのが一番の根っこになっています。

もちろん、安全で新鮮で美味しい作物を作って求めている方に届けたい、という気持ちも変わらずに持ってる。

でも、じゃー、自然と共生したり、日本の伝統であったりするものと引き換えにできるか、というと違う気がする。

エネルギーを大量に使ったり、海や川や森を再現なく汚したり、日本の伝統を忘れてしまったり、地域の衰退を見放したり、家族の絆が薄れたり、動植物の存在が遠のいたり、身近な物がコンクリートやプラスチックになったり、はたまた世界の貧困も...
もちろん、食だって同じ。

何かを失い代償にするんじゃなく、気づいるのに気づかないふりをするんでもなく、全てに関係を持った自分なりに納得のいく気持ちいい仕事。

それが、地域に住んで農業をする、という決意に繋がったんやと思う。

昔、フランス人から「日本人は経済は一流やけど文化は三流やん」
退職して農業大学に進んだ同期から「土の細かい成分の研究は進むけど、でも土って何っていう全体は分からんやん」
って言ってたんが、もう何年も何年も前のことやのに何か衝撃的で今でも覚えてる。

自分の国に根っこをはり、ある側面だけじゃなく総合的に取り組む。

それが自分にとって心身ともに豊かであり、責任のある全うな暮らしなんやと思う。

 

長くなったけど、自分のためにも研修前に今のこの気持ちを残しておきます。

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