11月23日
知り合いからの紹介で、神山町のサテライトオフィスツアーというのに参加してみる。
徳島県神山町は山に囲まれたまさしく田舎という場所にも関わらず、県外からの企業参入が続いており、まちおこし、という点で行政関係者を含めて多方面からの注目を集めている。
この活動の主体になっているのがNPO法人グリーンバレー。
グリーンバレーの代表の講演があって活動内容や成り立ちも聞けたけど、前身の組織からも含めてここに至るまでに色々と山あり谷ありやったそうで、誰からも頼まれもしないことをコツコツコツコツ続けてきた、という話にはなんだかぐっときた。
神山町は大田舎なのに企業誘致が続いているその大きな理由は、都市並みのITインフラ。
そこに目をつけたのが映像アーカイブの企業で、古民家を改築してサテライトオフィスとして使っている。
仕事さえ作ることができれば心地よさを求めて田舎で暮らしたい、という想いを持っている人は多いはず。
左の建屋がオフィス。
こんな開放感ばつぐんの職場は、さぞ気持ちよく仕事できるやろなぁ。
このツアーの主旨を知らずに参加してしまい、農業と全く関係無い話なのでそういった意味ではあまり参考にはなれへんかったけど、田舎にオフィスを作るという流れは、可能な業種はまだ限られるやろうけど今後ますます進んでいくような気がする。
面白なぁ。
そして、このツアーの主催は鳥取県の行政で、行政担当者はみんな興味深々に何度も質問をしていた。
少子高齢化、人口減少のなか、各地で人口の取り合い合戦のようなことが起きるんやろうか。
田舎が活気づいてくる。
道の駅 温泉の里にて車中泊。
11月24日
寒すぎて早朝に目が覚める。
このままではやばすぎ、ということで起きてすぐに移動開始。
身体は冷え切ってるけど、近くにある雨乞いの滝に行ってみる。
ここが当たりで、めちゃくちゃ良い。
山道を20分ぐらい上がったところでぱっと景色が広がって、周りを囲むようにして左右に2本の滝。
昔の人は雨乞いのためにこの滝に来たというけど、不思議とその気持ちがわかる神聖さがある。
一番好きな滝になりました。
それから北上して吉野側のふちにたどり着く。
そこで日向ぼっこしたり、ご飯作ったり、車を整理したりしてのんびり過ごす。
車はもはや家と化してるけど、いかんせん部屋が2人+1匹には狭すぎて、そしてシロがどこかしらにウンコをするから、いつも生活は必死…苦笑。
ただ毎回整理を重ねるたびに、車内の天井につけた棚を補強しようとか、これはこっちに入れたほうが便利やなとか創意工夫が積み重なって、日々快適な生活になってきてるけどね。
夕方、奈々の財布がなくなってかなり焦る。
間違えて道の駅のゴミ箱に捨ててたことが判明し(笑)、急いで救出に。
道の駅 土成にて車中泊。
それにしても、奈々は頑張ってくれてる。
男の俺でもしんどいなぁと思う中、懸命に隣でついてきてくれてる。
文句や不平は言わへんけど、相当な疲れや不安の中にいるんちゃうかな。
いつも隣に応援してくれる人がいてくれるだけで、これ以上に心強いことはない。
11月25日
週末が明けてやっと月曜になったから県庁に行く。
新規就農者系の助成金として有名なのが、青年就農給付金(準備型)と青年就農給付金(開始型)。
一人当たり年額100万以上やから大きいねんけど、助成を受ける条件というのが都道府県単位で少し違っていてややこしい。
ということが、農家さんや行政担当の方と話しててやっとわかってきた。
準備型は先進農家での研修が必須で、その先進農家というのは行政ですでにリストアップされている。
有機の先進農家というと、徳島県内では、農業大学校か小松島の有機農業サポートセンターか若葉農園といったぐらいで、極めて選択肢が少ない…
農業大学校はもともと興味ないからパスで。
小松島のサポートセンターは実は蒜山の山田農園さんからも聞いていて、有機の指導で有名な小祝先生という方もその講師陣として入っている、興味深いところ。
早速サポートセンターに電話したところ、案内可能ということで急いで向かう。
施設長のお話を伺ってみると、その指導方針は、ハウス内で葉物野菜を年間何回転も作って、食える有機農家を増やすという方向だった。
もちろん、実際に独立した時にどう農業していくかは個人の自由やから、ここで研修を受けたからと言って好きにすればいい訳やけど、ハウスばっかりで作業を続けることも、年間葉物を何回転もさせることも、正直なところあんまり興味が湧かない。
一方、奈々は興味を持っているようで少し意見が分かれる。
土壌分析、施肥設計、太陽熱処理を計画的に確実に行うことで、安定的で健康的な有機野菜がたくさん作れるというその科学的な理由付けの勉強は、たとえ普段は実践しないとしても必ずいつか役立つと。
その点で自分も興味があるといえばある。
収量をあげることは大事やし、窒素分を計算無くたくさん投入した土壌では、たとえ有機といえども野菜に硝酸態窒素という成分が多分に含まれてしまって体に悪影響をもたらすということは本に書いてあったし他の農家さんからも聞く。
この点を合理的にお客さんに説明できることは、自分自身としてもすっきりする。
…自分が自信を持てる野菜とは、自分にあった農業スタイルとは、悶々と考える。
道の駅 公方の郷なかがわにて車中泊。
11月26日
有機の先進農家の中のもう一つ、若葉農園さんのアポが取れたので向かう。
こんな感じで予定が当日決まることも多い。
もっと計画的にしたらって感じやわ…笑
若葉農園さんは3.5haの畑と、1.5haの田んぼを自然農法でやっていて、月800件ほどの宅配BOXがあるという。
スタッフは社員2名、研修生3名、パートの方数名ぐらい。
自然農法・・・
無農薬、そして無肥料で作る(有機肥料も使わない)。自然農と違って耕すことはするそう。
除草もするから畑に雑草は少なかった。
種は90%以上自家採種しているという。
規模もそうやけど、無肥料で野菜が作れるってマジで不思議。
肥料を一切入れずに、一般的な有機野菜よりも栄養価が高い野菜が育つって!?
昼ごはんをご馳走になったけど、その人参の甘さは本物やった。
農場主の横田さんは、これから自然農法で野菜を作っていく若手を増やし、一緒にネットワークを組み若手を支援しながらこの野菜たちを広めていきたい、という熱い想いを語って下さった。
ここでの研修は面白そう!!!
自然農法や自然農は、現実的に厳しいのかと諦めかけていたところ、ひとつの希望の光が見つかり元気が出る。
これで徳島での調査は終了し、南下して高知県へと向かうことにする。
道の駅 宍喰温泉にて車中泊。
11月27日
高知県は南海トラフが怖いなぁと言って、もともと移住先としては候補に挙げてなかった。
まぁ高知県といっても場所によるから一概に決めるのはどうかとも思うけど、海か川の近くに移住出来たらと思ってたから高知県の海沿いは怖いなぁと。
だからこの日はとにかく走りまくる。
室戸岬→高知市内→足摺岬という流れで延々と海沿いを走った。
太平洋はやっぱり雄大で奇麗で気持ちがいい。
海から昇り海へと沈む太陽や、空と一体になる遥か遠くの水平線をみると、地球への感謝を改めて感じさせてくれる。
こんなところの近くで農業ができたらいいのになぁ。
高知の四万十市で偶然見つけた中村温泉、何か良いにおいが漂ってるなぁと思ったら薪でお湯を沸かしてた。
いまどきそんな銭湯があるなんかマジで感動!
足摺岬の駐車場にて車中泊。
真っ暗闇の中で寝る準備をしてたら、ふと足元にイノシシがいてめちゃめちゃ焦る。
車内に逃げ込んだけど、そのイノシシが車のすぐ周りを徘徊していて、バトルは避けられへんと思った。
懐中電灯で照らしてよく見てみると、可愛い子供のイノシシがしっぽを振ってた笑
足摺岬を探検した後、愛媛県に向かう。
高知県の南部から愛媛県南部にかけては珊瑚の名産地らしく、信じられへんぐらい安い珊瑚が売ってて奈々が衝動買い。
明日に備えて一気に北上。
宇和島で車中泊かと思ったけど都会すぎて断念。
近くに良さげな道の駅があったから移動したけど、ここには近くに風呂がないからまた別の道の駅に移動。
道の駅 森の三角ぼうしで車中泊。
毎日泊まる場所や風呂を探さなあかんし、初めての場所での車中泊や調理にはいつも神経も使う。
猫の白ちゃんが夜行性らしく夜な夜な起きて、車内にうんこや小便をしたり、それを避けるために車外に散歩に連れていったりで睡眠不足なのもある。
小さいことが積み重なって不安やストレスになってて、元気はあるものの2人とも精神的にちょっと限界になってきた。
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