10年ぶりの長崎。
田舎は自然豊かやけど不便でどこか人恋しいというイメージがあったけど、10年という長い月日の間に開発が進んだのか、それとも単に記憶が間違っていたのか、思っていた以上に都会で便利で人がいた。
目的は2つあって、1つはずっとお会いしていない田舎の方達(ご先祖様も)と会うこと。
もう一つは、アスパラガス(+α)農家を10年続けている従兄弟と話すこと。
実は従兄弟とは電話で何度か話したことがあり、アスパラも送ってもらったことがあるねんけど、その時の彼の話しぶりが熱意そのもので、一度ちゃんと話を聞いてみたいと思っていました。
アスパラの栽培自体も見たことがなかったから、その意味でもとても楽しみでした。
思っていたとおり彼はとても熱い男で、農業や食に関する目線も共感することが多く、そして10年間続けてきた中で彼が体感してきたことを心から教えてくれた。
彼自身が大事にしていることは、田舎で先祖の土地を荒らさずに維持すること、日本の農業や食の豊さを守り次世代へと繋ぐこと、プロとして美味しくて品質の良い農作物をきちんと作ること、この3点を誠実に貫こうとしていた。
一方で、隣人からの妬みや僻み、広すぎる農地維持にかかる労力、両親との世代交代にかかる衝突、地域高齢化による次世代不足、地元行政や農協の頼りなさ・不公平・長期展望のなさ、特定の利害者のための自然破壊、農業界の過激な競争などに憤りを感じており、誠実に頑張っても報われないジレンマの中にいるようだった。
既にこどもが3人いるので今更大きなリスクは取れないし、そもそもハウスや農業機械で多大な投資が必要だったため、10年経った今でも経営的に十分とは言えないようだった。
ただ、歩みは少しずつでも信念を曲げず貫いてきた成果が実り始め、彼のアスパラ栽培は県内だけではなく県外からも注目されており、視察に訪れる人も増えてきているらしい。
詳細はあまりに長くなるから省略するけど、ジレンマの背景や理由を一つずつ詳しく教えてくれて、そのことが彼の嘘のない努力を現していたし、3日間、一緒に農作業などをやっている中でひたむきに現状に向かい合っているその姿に感動した。
10年・・・
もちろん、両親や家族の支えあって続けてこれたのやけど、とてつもなく長い道のりを乗り越えてきた彼の背中は誇り高く、かっこよかった。
深夜まで話に付き合ってくれた際、
俺はこの場所でこの状況を受け止めながらこれからも頑張る、だからお前もお前なりに頑張れ、
と言った彼の言葉はとても重く、心にズドンと響いた。
農作業の合間に、おばさんご夫婦が連れて行ってくれた佐賀県太良町山中にある欠掛家のお墓。
ずーっとご先祖様のことが気になっていたけど詳細は分からずじまいだったところ、思わぬところでお墓に行くことができました。
どうやら、おばさんの旦那さんが夢で欠掛家のお墓を見たらしく、その夢を頼りに藪の中を捜索したところ発見できたとのこと。
その日から、定期的に通ってお墓をきれいにしてくれています。
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