雲海が見える泉谷棚田

12月1日~4日
棚田百選にも選ばれている泉谷棚田。
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ここでお会いしたホストの好永さんは、この棚田の一部を借りて米作りをされているが、会うやいなや、この棚田はもうやめたいんやぁと言っていた。

とにかく作業が非効率でもとが全く取れない。
見る人を感動させ、これからも残していきたい価値の1つやと思うけど、農家さんの心情を思うとそう単純には浸られへん。

標高500mぐらいの過疎の集落に移住してきた若手ご夫婦。
10件ぐらいの集落の中、このご夫婦と最近移住してきた夫婦を除いて他はすべて高齢の方。
棚田の管理のこともあるしこの集落の存続のこともあるし、移住者をまだまだ募集中とのこと。
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こんな山の中にハウスがあって、そこで脱穀のお手伝いも。
初めて脱穀機を使ったけど、テンション上げ上げでいかんとかなり疲れるわ。

過疎が危機的な集落は日本に山ほどある。
残る集落と消えていく集落の差は、その場所のポテンシャルや行政の取り組みもそうやけど、そこに住んでいる人の魅力がカギを握っているような気がする。
ご主人の方の好永さんは同い年で、もとパチプロ、身内の不幸とほぼ引きこもりになっていた自分への失望からお遍路さんを決意し、歩いてお寺を巡る中で森の心地よさを感じて農業の道を歩むことにしたそう。
人生の底から這い上がり肩ひじ張らない等身大の彼は、不思議と人を惹きつける魅力と暖かさを持っていた。
そんな彼がいたせいもあって若いご夫婦1組が最近移住してきたという。

ここでは、炭素循環農法というまだあまり知られていない農法にチャレンジしている。
蒜山の農家さんから炭素循環農法の大きな可能性を伺っていたので、とても楽しみにしていた。
そして畑を見せて頂いたら・・・なんと衝撃!
畑なのか工事なのか見分けがつけへんほどの大きな溝が、畝の間に掘られてるではあーりませんか!!
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このでかい溝に、近くから取ってきた竹や落ち葉や草を、細かく砕かずにそのまま詰めてく。
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理論的なことはうまく説明でけへんけど、いわゆる有機農業よりも収量が飛躍的に伸びた成功事例があるという。
昨年は本当に全くもって野菜が取られへんかったらしいから、今回、この方法を取り入れたことでどんな野菜が育つのかめちゃくちゃ興味がわく。

この作業以外に、地元のお手伝いも兼ねて木の伐採に。
初めてチェーンソーの使い方を習い、同じく初めて木を切らせて頂いた。
木が倒れた時の振動は、予想にもしないほどの大きな音が鳴り響き、まるで巨大な地響きのようだった。

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この木の一部を頂いて薪を作るらしい。
薪はお湯を沸かしたりストーブにつかったりで不可欠やけど、木を切り倒し、葉や枝を落とし、短く切って運び、薪にするまでには本当に手がかかる。
こうやってやっと循環的な暮らしが一つできるようになる。

これまで会ってきた方たちのおかげで、農業のスタイル、暮らしのスタイル、というのが少しずつ分類化されていくのがわかる。

出発前は単に有機農業で多品目野菜を作る、と思っていたけど、実際に農業をするとなると、もっともっとかみ砕いて考える必要があるんやということ。
有機農業だって、合理的な施肥設計をもとに野菜をがつがつまわしてきっちり稼ぐタイプや、自然との調和を考えて自然のサイクルに合わせて野菜を作るタイプもあるし、自然農や自然農法という分野だってある。

冬に出荷したいとなれば、それなりに暖かい限られた場所になるし、都会への販路をということなら都会へのアクセスも重視したほうがよさそう。
自分の暮らし方だって、田舎に住みながらハイテクに囲まれることもできるし、いわゆる消費エネルギーを少なくした田舎らしい暮らし、もっと突き詰めれば薪で風呂をたいたり暖をとったりもある。

自然に近い気持ちい暮らしをと言いながら、やっぱり便利がいいよな、という自分がいる。
もし子どもに恵まれればその子育ての仕方はどうするんか、学校に通わせないという方法もあるかもしらんけど、もし学校に通わせるんやったらあまりに田舎やと厳しい。

いまだモヤモヤするけど、考えるべきことが明確になってきてはいる。

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